インドでは医薬特許の有効期間内でもカマグラゴールドが発売されていた

Q&A

金がないインドにとっては医薬特許は邪魔な存在

インド国内では2005年まで医薬品関係の特許が認められてませんでした。正確には「物質特許」といって、簡単に言うと成分への特許保護がされていませんでした。
*製造方法などへの特許は法律上は保護はされていた。

つまり、以前は医薬品の特許を無視してコピー品を作りたい放題でした。

例えば今では正規のバイアグラ後発薬のジェネリックの「カマグラゴールド」ですが、バイアグラの製薬特許は2013年まで有効ではありました。ところが、カマグラゴールドはバイアグラと同じ成分でありながら特許終了前から販売がされていました。

もちろん、米国基準では不正コピーや模造品と認識されていましたが、インドの法的な基準では正規後発薬のジェネリック薬品のカマグラゴールドでした。

インドの法制度としては、特許が残っていても堂々と製造販売ができておりました。
当時から医薬品の個人輸入は合法的に行えてはいましたが、今とは違いネット上には嘘や詐欺が蔓延していたこともあり、カマグラゴールドなどは安価な後発薬のジェネリックとしては、それほどの普及はありませんでした。

ED治療薬というと贅沢品?のように思われるかもしれませんが、実際は命に関わる薬も特許で保護され、貧しい人が最先端医療にアクセスが出来ず命を落とすこともあります。
この国際的には非合法とも取れるインド製の後発薬のジェネリックが、実は発展途上国にとっては必要不可欠です。

世界の後発薬(後発薬のジェネリック医薬品)の約20%をインドが生産していると言われており、このネット社会において、インド製後発薬のジェネリック医薬品が世界的に急速に拡大しています。

特許を排除したインド製薬会社は丸儲け

インドでは医薬品特許に関して世界的に異例な制度を取ってきました。

世界基準で言えば、以下のような特許があります。これらの特許は多額のコスト(費用、期間)を有効成分を開発した会社が、一定期間独占的に薬を販売することで研究開発に要した費用を十分に回収できるような制度を取っています。
1.物質特許:開発(発見)した成分への特許

2.製法特許:成分の作り方の特許

3.用途特許:既存の物質を新たな方法で使う特許

このような特許で排他的独占状態で薬の販売が出来ることで、先に投資した費用を十分に回収できる制度となっています。

しかし、インド国内では医薬品については「1.物質特許」を認めないという1970年特許法を成立させました。 これによって、インド国内の製薬会社は、先進国の製薬会社が開発した薬の有効成分を独自の製法で製造すれば、海外の製薬会社がインド国内で取得している製法特許権を回避でき、インド国内では合法に医薬品製造をすることが出来ました。

先にも軽く説明をしたように、米国や欧州などの先進国の製薬会社が販売する高額な薬を輸入しなくてはいけない形式だと、インド国民が病気であるにも関わらず、薬の費用が高すぎるため治療に使えないという事態を防ぐため国として自国民を守るための手段でした。

そのような事情から、インドでは世界的に利用されている医薬品の有効成分を様々な方法で製造する「製法技術」が他国と比較して先行して開発され、インドの後発医薬品産業の急成長の足掛かりとなっています。

WTO加盟によってインドでも「物質特許」を導入

しかしながら、国際情勢も鑑みてインド側も、1995年に設立されたWTO(世界貿易機関:World Trade Organization)に加盟することでTRIPS協定(特許等の知的財産権についての協定)を遵守することが義務付けられました。猶予期限が切れる10年後の2005年に、インド国内の法律を改正し、農業、食品と化学反応生成物と共に、医薬品へも「物質特許制度」が導入されました。
しかし、特許について諸外国とは異なり、特異的な条項が盛り込まれています。
その中でも、「既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見であって当該物質の既知の効能の増大にならないもの、または既知の物質、の新規特性もしくは新規用途の単なる発見」については、特許として認めない「拒絶理由」としています。

つまり、なんだかんだの理由をつけて「凄い発見でなければ保護される特許と認めない」としてたようです。
すでに知られている物質を少し変化させたものや結晶の形を変更したもの、すでに発見されている物質の新たな使い方(用途特許)は特許としては認めず、現在知られていないまったく新しい物質を発見した場合のみ物質特許とするということです。

これによって、先進国の製薬会社で研究されている既存物質の形態を少し変えて新規物質とする特許がインドでは認められず、物質特許が導入された現在も、インド国内で海外の製薬会社が特許を取得できず、インドの製薬会社が後発薬のジェネリック医薬品をインド国内で合法的に作りやすい状態が続いています。

優れた政府は貧乏人でも買える医薬品の確保

13億人以上の人口を抱えるインドでも経済的には貧弱であり海外で開発された先端医療が受けることが出来ないのでは困ったものです。そこで、インド国策としては他国の目は気にせず高価な先進国の医薬品に頼らず、低所得者層でも医薬品を手にできるような制度(体制)を整える必要があるため安価な医薬品がどうしても必要です。
インド国内の製薬会社が薬を製造できる状況を作るために、国の政策として、先進国の製薬会社の特許承認の敷居を上げることで可能にしています。

国境なき医師団の安価なインド製後発薬のジェネリック医薬品の利用

安価な医療を必要としているのはインド国内の低所得者だけではありません。アフリカなど貧困国とされる発展途上国では、常に医療が不足しております。今日食べる食事に事欠く状態で医薬品なんて贅沢品でありながら命に関わる場合は医療に対してお金を支払い必要があります。
このような人たち向けにもインドの安価あ医薬品は大変重要であります。もし、インドの製薬会社が製造している後発薬のジェネリック医薬品の供給がストップするとインド国内の低所得者に限らず数多くの国々の薬代を支払えない人々が、既に世の中で薬が開発されているにも関わらず、その薬を利用できず治療できないという理不尽な状況を作り出してしまうのです。

その象徴となるのが【国境なき医師団】という1999年にノーベル平和賞を受賞もした組織でもあります。空らは紛争や自然災害の被害者や貧困の多い国にて、病気やケガをしても治療費が支払えず満足な医療が受けられない人のために活動をしている非営利団体です。


発展途上国で問題になっているHIV(エイズ)も【国境なき医師団】にとっては治療の対象です。しかし、このHIV(エイズ)治療薬を先進国と同じ製薬メーカーのものを使用すると高額すぎて非営利団体の財源ではとても賄いきれません。ですのでインドの後発薬のジェネリックに頼らざるを得ないのです。HIV治療薬に限らず他の抗生物質など一般的な医薬品なども、【国境なき医師団】が使用する薬のほとんどはインドの後発薬のジェネリックという状況です。

自社の利益のために死んでくださいとは言えない企業原理

このような理由により、インドで物質特許が認められた2005年以降に製造販売された後発薬のジェネリックに関しても、人の命や慈善事業が絡んでいたりすることもあり、先発医薬メーカーも泣き寝入りするしかない状況です。
また、インド政府としても大きく育った国内医薬後発薬のジェネリックメーカーからの反発が大きあります。

インドでは、このような事情が、特異的な特許体制をとっている理由のひとつと言え、先進国で特許が有効な期間にも関わらずインド国内の製薬会社によって製造されたインド製の後発薬のジェネリック医薬品が世の中に存在している理由です。

インド後発薬のジェネリック大国と世界中で呼ばれている

インドの後発薬のジェネリックメーカーも大きく成長し、株式上場から日本に支社をもつメーカーもあります。一昔前はインド国内の後発薬のジェネリックを通販購入するのは危ないと危険視されておりました。

もちろん、インド国内の小規模な医薬メーカーは私たちの基準からすれば品質などの点から問題点があるかもしれません。ですが、少なくとも後発薬のジェネリックの成分の医薬品ならば、長年利用され続けている訳ですので、効果、効能だけでなく副作用などの危険性も分かっているので心配はないでしょう。

例えば、ここに来てコロナの治療薬として、長年利用され続けたイベルメクチンが注目されています。アフリカなどを初め寄生虫の駆除薬として普及している、このイベルメクチンですが2022年3月時点でコロナワクチンとして認可の申請が進められているなど、海外で流通していたことから効果があるとSNS等でコロナへの効果が知られるようになっています。

個人輸入で医薬品を入手される場合は自己責任で、しっかりとした知識も必要です。

1.信頼おける海外医薬品メーカー

2.パッケージに日本語は使われてないので用法容量を確認

海外医薬メーカーの中には自社のホームページもなく、電話の連絡先も無いようなメーカーもあるのも事実です。

また、日本のメーカーだからといって信頼が出来るかというと一概には言えないはずです。

 

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